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一命(HARA-KIRI)

風邪をひいて家に閉じこもっていた間、友人に借りた本や映画をたくさん観ました。

久々の日本映画です。

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Harakiri(邦題は一命)

題名からして誰かが切腹するのだろうな、とは思って観始めたのですが、前半に出て来るこの切腹シーンが悲惨でした。

江戸時代、困窮した浪人が、裕福な大名家に押しかけ、「庭をお借りして切腹させてほしい」と申し出たところ、困った大名家からいくばくかのお金を与えられ帰されたという噂が広まり、いわゆる(狂言切腹)が流行していました。
妻子が病気でお金が必要な求女(瑛太)もそれを見込んで行ったのですが、井伊家はそれを許さず、切腹せざるえない状態に、、。

この切腹のシーンで気持ちが折れかかったのですが、私は観始めた映画は最後まで観たいので恐る恐る続きをみることに。

テーマとしては、大事なのは(武士の面目)か(人としての思いやり)か、ということなのだと思います。
半四郎(市川海老蔵)は、それを問いたくて井伊家に行き、家老(役所広司)と対峙することに。

大名家で出された上等な和菓子、家老がサザエのつぼ焼を豪快に食べるシーンと、半四郎親子がひとつのお饅頭を「一緒に食べた方が美味しいから」と分け合って食べるシーン。
求女の猫がやせ細っているのに対し、大名家の猫はふかふかの座布団に座っている。
いろいろな対比が切なかったです。中でも求女が妻のために買った卵のひとつを落として割ってしまい、仕方なく地べたに顔を押し付けて啜って食べるシーンなど、たまらなかったです。

誰も悪いわけではなかったのに、それぞれの立場の違い、武士の面目というもののために起きた悲劇でした。

雪がはらはらと降っている庭を前に、自分はただ春を待っていただけ、、という半四郎の台詞がぐっときます。

辛いのでもう2度と観ないとは思いますが、いい映画でした。
体調のいい時に観るのをお勧めします。
by cocoa-mocha | 2013-08-31 07:12 | Movie